相続した土地(不動産)の売却にかかる税金と特例による節税
相続した土地を売却する可能性がある方は、①特例による節税、②公平な遺産分割の実現、③手続きが密接に絡むことから、相続時から検討しておくことが必須であると考えています。
このページの内容はYouTubeでも解説していますので、まずは動画を見てざっと理解していただいてから読んでいただくとより理解が深まると思います。
相続した土地(不動産)を売却した時にかかる税金
相続した土地(不動産)を売却した場合、利益があれば譲渡所得として所得税が課税されることになります。
相続した土地(不動産)を売却した時にかかる税金の計算式

相続した土地(不動産)を売却した時にかかる税金は、「売却金額」から「取得費」と「譲渡費用」を差し引いた「譲渡所得」に、「税率」をかけて計算します。
売却した土地(不動産)の所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、税率は39.63%です。 所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」となり、税率は20.315%です。
「取得費」および所有期間ついては、相続人の取得金額および取得時期を引き継ぐことになります。そのため、ほとんどの場合は所有期間が5年を超え「長期譲渡所得」となり、税率は20.315%になります。
なお、「取得費」が不明な場合は、「売却金額」×5%の概算取得費となります。昭和45年以降に取得した土地(不動産)の場合は、概算取得費を上回る想定取得価格を使用できる可能性があります。
設例
例えば、
親が10年前に4,000万円で取得した土地(不動産)を、9,000万円で売却した場合の税金の計算
3,600万円 × 20% = 720万円
相続した土地(不動産)を売却した時に使える特例3選
相続した土地(不動産)を売却したときにかかる税金を節税できる特例があります。
特例①:取得費加算の特例

相続税を払った方が、相続発生から3年10ヶ月以内に相続不動産を売却した場合、相続税の一定金額を取得費に算入できる特例です。
例えば、
300万円を取得費に算入できた場合の節税金額
特例②:自宅譲渡の3,000万円特別控除の特例

親が生前にマイホームを売却した場合に使える特例で、住まなくなった日から3年目の年末(12月31日)までに売却した場合に適用できます。3000万円を控除できるということは、3000万円×20%=600万円もの所得減額効果があります。
例えば、
3000万円を全額控除できた場合の節税金額
なお、実態として自宅として利用していたことが必要であり、親族等以外の第三者に売却することが必要であったりと細かい要件があります。
特例③:空き家譲渡3,000万円特別控除の特例

相続後に空き家となった実家を相続した日から3年目の年末(12月31日)までに売却した場合に使える特例で、昭和56年5月31日以前に建築している物件で、売却代金が1億円以下であり、売却した翌年2月15日までに家屋を取り壊して更地にする必要があります。3000万円を控除できるということは、3000万円×20%=600万円もの所得減額効果があります。
例えば、
3000万円を全額控除できた場合の節税金額
昭和56年5月31日以前に建築している物件で、売却代金が1億円以下であり、売却した翌年2月15日までに家屋を取り壊して更地にするという要件があり、自宅譲渡3000万円の特例が適用できる物件でも、空き家譲渡3000万円控除の特例は使えない場合もあるので注意が必要です。
事例を確認する特例の適用要件、節税金額まとめ
特例 | 節税金額 | 主な適用要件 |
---|---|---|
取得費加算 | 60万円 | ・相続発生から3年10ヶ月以内に売却すること |
自宅譲渡3,000万円 | 600万円 | ・住まなくなった日から3年目の年末までに売却すること ・買い手が親族等ではないこと |
空き家譲渡3,000万円 | 600万円 | ・昭和56年5月31日以前の建築であること ・売却代金が1億円以下であること ・相続日から3年目の12月末までに売却すること |
なお、特例ではありませんが、昭和45年以降に取得した土地(不動産)の場合は、概算取得費を上回る想定取得価格を使用できる可能性があります。
相続不動産の売却は相続時から検討することが必須である理由

相続税、不動産売却価格、譲渡税のトータルで最も手残り金額が多くなるプランニングが可能になる
相続した土地(不動産)を売却する可能性がある場合、国が税制優遇している3000万円控除の特例を使わない手はありません。
ただし、自宅譲渡3000万円控除の特例と空き家譲渡3000万円控除の特例とでは、適用用件が異なるので、どちらを使うか生前から検討しておく必要があります。
特に、空き家譲渡は売却価格が1億円以下の場合にしか使えませんので、相続後に検討を開始しては自宅譲渡の3000万円控除の特例が使えないということになりかねません。
加えて、相続税においても小規模宅地等の特例という税制優遇制度があり、こちらは相続税を大幅に減額させられる効果があります。
そのため、相続した土地(不動産)を売却する可能性がある場合には、相続時からしっかりと小規模宅地等の特例が適用できるか、適用要件を満たした上で、相続不動産の売却に関する特例が適用できるかを検討しておくことが、将来の資金負担に非常に大きな影響を与えます。
※特に、老人ホーム入居、入院、家なき子のケースでは、小規模宅地等の特例と空き家譲渡特例を併用し、相続税と譲渡税を大幅に減税できる可能性があります。
最終的な手取り額ベースでの平等な遺産分割を実現できる
不動産は分けることができず、また、物件によっては相続税評価額と売却額で大きな差があることも多く、遺産分割で揉める原因にもなり得ます。
そのため、売却する場合にはキャッシュフローベースで公平な遺産分割を望まれるケースも多くあります。
相続税申告と相続不動産の売却の手続きが密接に絡む
各種書類作成や証明書の取得、必要な申請や写真撮影、確定測量や相続登記のタイミング、取得費加算額や取得費不明の場合の取得費計算の工夫といった対応が必要となります。
※不慣れだと煩雑であり、作業負担が大きくなってしまう。
相続不動産の売却される方へ
どのような土地でも構いませんので、相続した土地の売却で後悔しないために、ぜひ一度ご相談ください。