2023年(令和5年)税制改正で生前贈与加算が7年に!相続税・贈与税一体化
相続税・贈与税一体化として、相続税の増税につながる65年ぶりの税制改正について、生前贈与関連の気になるポイントを解説します。
このページの内容はYouTubeでも解説していますので、まずは動画を見てざっと理解していただいてから読んでいただくとより理解が深まると思います。
【解説項目】
生前贈与の加算期間は3年から7年へ
亡くなる3年前の暦年贈与については、相続財産に足し戻すという現行制度から、亡くなる7年前の暦年贈与について相続財産に足し戻すという改正が行われました。贈与の時効が7年であるため、それに合わせた形になりました。なお、単純に7年分の贈与を加算すれば良いわけではないのでご留意ください。
税制改正の内容
- 2024年(令和6年)1月1日以降の贈与から7年が加算対象に
- 2024年(令和6年)1月1日に贈与した場合、除外されるのは令和13年2月以降から
- 加算金額:3年内贈与+(4〜7年内贈与 ー 100万円)
設例
亡くなる10年前から毎年110万円ずつ生前贈与していた場合、従来は1100万円のうち330万円分が相続財産に加算されたのに対し、改正後は670万円分が相続財産に加算されて課税対象になります。
税制改正前
110万円×3年=330万円を相続財産に加算
→7年分が非課税
税制改正後
110万円×3年 + (110万円×4年ー100万円)= 670万円を相続財産に加算
→単純に7年分の贈与を加算すれば良いわけではない
このように、生前贈与に関しては大幅な増税必須となる税制改正となりました。
駆け込み贈与は節税になるのか
税制改正については、2024年(令和6年)1月1日から適用されますが、改正開始前の2022年および2023年の生前贈与は節税になるのかについて解説します。
税制改正の内容
結論
駆け込み贈与は節税になる(改正なし)
節税条件
- 2022年(令和4年)中の贈与→相続発生が令和8年以降であれば節税に
- 2023年(令和5年)中の贈与→相続発生が令和9年以降であれば節税に
相続人以外の贈与は節税になるのか
相続人以外の贈与についても見直しになるのではないかという噂もありましたが、加算対象者に変更はなく、改正前と同じく相続税の申告義務がある人だけになります。
税制改正の内容
結論
相続人以外の贈与は節税になる(改正なし)
よく用いられるお孫さんへの生前贈与はこれまで通り有効であるという結論です。
相続時精算課税贈与が暦年贈与より便利になる!?
税制改正前の相続時精算課税制度を利用すると、贈与は相続財産に足し戻されてしまい、届出書の提出なども相まってなかなか利用する人がいませんでした。今回の税制改正によって、毎年110万円以内の贈与であれば一切課税されないという形になりました。
税制改正の内容
税制改正前
何年前の贈与であっても相続財産に加算
→課税されてしまう
税制改正後
年間110万円までの贈与は加算対象外
→課税されない
このように、これまでの暦年贈与のように毎年110万円までコツコツと生前贈与していく方は、税制改正後は相続時精算課税贈与を利用すればよい、ということになりました。
相続時精算課税制度を利用した節税方法については下記ページで解説しています。
2023年度(令和5年度)の税制改正の贈与まとめ
2023年度(令和5年度)の税制改正大綱で大きく生前贈与は変わります。適用は2024年(令和6年)1月1日からですので、今回の税制改正を踏まえて相続税対策をしていく必要があります。
【2023年度(令和5年度)の税制改正の贈与まとめ】
- 改正前の「駆け込み贈与」は有効!2022年度中の贈与は急いで!
- 暦年贈与は可能であれば相続人以外に行って相続の加算対象外に!
- 相続時精算課税贈与は110万円以内のコツコツ贈与に◎
税制改正で制度がより複雑化し、長期的な相続前の入念な節税準備が不可欠になりました。
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