タワーマンション節税(タワマン節税)の最高裁判決
このページの内容はYouTubeでも解説していますので、まずは動画を見てざっと理解していただいてから読んでいただくとより理解が深まると思います。
タワーマンション節税(タワマン節税)とは?
マンションの特性として、部屋数が多ければ多いほど、1部屋あたりの土地の所有面積は小さくなります。特に、タワーマンションは部屋数が多いため、土地の相続税評価額が小さくなります。
一方、タワーマンションは人気物件も多く、売買市場が活発であることが多いため、相続後に購入価額に近い価額で売却することができます。
そのため、相続税を圧縮し、売買で損をしないスキームであることから、相続税対策としてタワーマンションを購入する節税手法が流行していました。
タワマン節税の現状
当然ながら、税務署も相続税の租税回避行為として目をつけており、土地の相続税評価額を小さくすることは不当であり、市場価格で評価すべきという訴訟が行われています。
この裁判の判決が令和2年4月19日に出る予定となっており、以下で解説していきます。
タワマン節税の訴訟事件の内容
相続財産の内容
資産
・不動産:3.3億円・その他の資産:7億円
債務
・借入金:10億円・タワーマンションと借入金によって相続税はゼロ
・タワーマンション節税を行わなかった場合の相続税は3億円
相続財産の圧縮
物件 | 購入金額 | 路線価評価額 | 減額 |
---|---|---|---|
杉並マンション | 8.3億円 | 2億円 | ▲6.3億円 |
川崎マンション | 5.5億円 | 1.3億円 | ▲4.2億円 |
タワマン節税事件の争点
土地の原則的評価方法は路線価による評価ですが、路線価による評価が著しく不当である場合には、路線価以外の方法による評価でOKとされており、今回の路線価による評価が著しく不当なケースに当たるかどうかを裁判で争っている。
納税者の主張
・不動産購入や借入による節税は一般的な対策である
・時価評価は富裕層を狙い撃ちしている
税務署の主張
・購入物件は収益性が高いので時価評価は差別的でない
・この手法での節税は他の納税者との公平性を欠く
判決によって想定される3つのシナリオ
①最高裁が判断⇒納税者が勝利
②高裁に差し戻し⇒最高裁へ
③上告棄却⇒税務署が勝利
最高裁の判決(令和4年4月19日)
タワマン節税の訴訟事件の詳細
裁判でポイントになりそうな点を時系列に列挙すると以下のとおりです。
- 平成20年5月:銀行の相続診断で借入による相続税の圧縮効果の説明を受けた
- 平成20年8月:相続診断後、間もなく養子縁組を行った
- 平成21年1月:マンション購入の借入理由に、『相続税対策』という記載があった
- 平成21年12月:90歳以上の高齢者による借入であった
- 平成24年6月:相続発生
- 平成25年3月:相続税申告書提出前に川崎のマンションを売却した
- 平成25年3月:相続税申告書を提出(期限内申告)
- 平成27年:税務調査開始
- 平成27年4月:不動産の鑑定評価を実施(相続税評価額は鑑定評価額の1/4)
- 平成28年4月:更正処分
- 平成28年4月以降:納税者は時価評価は不服として訴訟を提起し、裁判へ
- 令和4年4月:最高裁は相続人側の上告を棄却し、路線価否定の判決となり、国が勝訴
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